ーーードキッ
その時、私は教師として相応しくない気持ちをほんの少しだけ抱いてしまった。
「俺、こっちのが好き」
斉藤はるかは私の短くなった髪の毛を触りながらそう言った。そして、わしゃわしゃと頭をまるで犬が飼い主からされるように撫でられた。
「てるてる坊主みたい」
「それ褒めてるの?」
「可愛いって褒めてるつもり」
「・・・・にっ、」
私の髪を触る斉藤はるかの手が首筋に触れてこしょばかったので、私は間抜けな声を出してしまった。
そして、斉藤はるかは私のその変な声に吹き出した。それから立ち上がって、私に手をさしのばした。
「もう遅い。帰れ」
「ほんと生意気」
