「真緒ちゃん・・・・ごめんね。私、大人なのに・・・・情けないことに自分のことばっかで、真緒ちゃんの声に耳を傾けられなかった」
「なつこ先生に・・・謝るのは真緒だよ。真緒はなつこ先生とお兄ちゃんが結婚して、唯一の家族であるお兄ちゃんを取られてしまうんじゃないかって怖かったの。全部真緒が企てたこと」
「そうさせてしまったのは、私なのよ。真緒ちゃんは、何一つ悪くない」
真緒ちゃんは涙を流しながら、私に抱きついた。私は真緒ちゃんが落ち着くまで、真緒ちゃんの背中をさすっていた。
そして、真緒ちゃんは全て正直に話してくれた。私の目を見て、しっかりと向き合ってくれた。
「お兄ちゃんは誕生日前日、お店でお酒を大量に飲んでいた。酔っ払ったお兄ちゃんに睡眠薬を飲ませて眠らせて、タクシーでホテルに連れていくように真緒が真弓さんに指示した。
ホテルでお兄ちゃんと真弓さんの服を脱がせ写真を撮った。まるで二人がことを終えたように、キスマークなどで工作もして。その時の写真は一枚目の封筒に入れた。
その意図は、お兄ちゃんが浮気したとなつこ先生に思わせて、二人の仲を引き裂こうとしたから。
二枚目の封筒には、真弓さんの働くキャバクラの名刺を入れた。それはなつこ先生と真弓さんを引き合わせて、真弓さんがお兄ちゃんと付き合っていると直接言って、なつこ先生に信じさせるため。お兄ちゃんが入ってくることは、誤算だったけどね。
そして3枚目の封筒は、二人を別れさせるために重要な2つのメッセージをこめた。
1つ目は、真弓さんが妊娠したとなつこ先生に思わせること。あの写真はネットから探したもので、事実無根だから安心して。
そして2つ目は、真緒が企てたことをなつこ先生に気づかせること。なつこ先生はきっと真緒が犯人なら文句は言えないし、真緒が二人を別れさせたいと思っていたことを察して、お兄ちゃんから離れてくれると思ったの」
