「実際、家にいなかったの、凌輝じゃん」


わたしはそっと呟いた。

そう、いなかったのは凌輝。
わたしは、いつも通りにしようとおもって、凌輝んちに迎えに行ったら、凌輝ママから「もう行ったよー」って言われて、学校に来ても凌輝はいなくて。


一瞬、この場が凍りついた。

それを、割るように、凌輝はわたしの手を引いた。



「ちょ、もう熱いんだから〜」

っていうマキの声がばっちり聞こえたまま。





廊下に、二人。みんな教室の中に入っている。きっと、真夏日。クーラーが付いている教室にみんな逃げている。


「あっついんだけど」

凌輝は溢れる汗を、手で拭った。



「こっちの台詞!」