真っ赤に染まる山が病院の窓から見える。

「手術は成功しました。」

そっか・・・陸斗くんと一つになったんだね。
椿はこれが幸せなんだよね。

「ただ・・・延命はしましたが、生きれて20代半ばまででしょう。」

嘘だろ・・・。
ふざけんな・・・何が科学だ。
何が医学だ。
椿の命は、椿の思いは・・・。
あれ?あの山・・・何色だっけ・・・?

その日の帰り道は何もかもがモノクロに見えた。
運命なんて非科学的なもので片付けたくない。
そんな言葉で語れない。
ふざけんな。
ふざけんな。
ふざけんな。

「あ"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

バーンガシャーンドンガシャーン

荒れ果てた部屋の片隅でうずくまった。
僕は無力だ。
椿も、椿の愛した陸斗くんも救えない。
僕は・・・。

不老不死。
再生を繰り返す微生物。
心を主とするか脳を主とするか。
データ化。
超高速再生細胞。
マウスの寿命が2倍。

床に落ちた使い古したノートの文字が飛び込んでくる。

これだ・・・まだ終わってない。
諦めるには早すぎる。
伸ばせる。伸ばしてみせる。
陸斗だけは俺が救ってみせる。

「・・・ふうとう?」

ノートに1枚の手紙が挟まっていた。