~ただ前へ~

始業を知らせる鐘とともに、

『・・・・ガラ』

教室のドアが開き、先生が入って来た。


一瞬で静まりかえる教室。


長身に、細身な体の割に半袖から出る腕は
案外筋肉質。

甘めだけど、すっきりとした顔だち。とがったあご。

細い黒ぶちのメガネ。

その奥の瞳はクールな印象。


一瞬でクラス全員の心を鷲づかみにするほどの、

人間が・・・・この世にいるんだ。


・・・・・・

誰も言葉を発しない。


「日直は?」

先生に促されて、我に返った日直の子は慌てて号令をかける。


「お願いします」

と、生徒も頭を下げる。



生徒が着席するのを見届けて、先生が話し始めた。