「ねぇ。先輩ってば」

「あーもう、早く練習戻りなよ!」



意外なことに。本当に本当に意外なことに、この佐野くんも1年生にしてそのメンバーの1人だったりするんだ。




「おい佐野ー!練習再開するぞー!」

「…ほら、呼んでるよ?」

「ちぇー」


つまんなそうに口を尖らせ、踵を返す。





「じゃあまた後で来ますね、先輩」


最後に私に挨拶することも忘れないで、佐野くんはピッチへと戻って行った。




その背中を見届けて私も部室に戻る。


と、そこにはニヤニヤとした友達の速水飛鳥 (ハヤミ アスカ) が待ち構えていた。




「おかえり〜。まーた6番くんに口説かれてたの?」


そう問いかけてくる飛鳥は、とても楽しそう。