クラス替えをしたときに、一番にチェックを入れた名前がある。
沢田春陽。
一年の時から、散々噂が飛び交っていた女の子。わがまま。お嬢様。

クラスで同じになったんだ、と色々な友達に話して回ると、二種類の答えが返ってきた。

「うわー、面倒くさいよ。志穂、友達多いでしょう? 目、付けられるかもね」

「そんなに、悪い子でもないけど」

私は最初、前者だった。面倒くさいな。うざいな。

「何で結実を無視するの?!」
いらいらも、したのにさ。

ね、何で?

一回、優しくされただけで、ころっと考えが変わる。



わたしは、嫌な子のいいところを見つけるのが得意だ。