「あー! ね、守屋!!」

「な、なに――」

 私も志穂も、私たちの友達、クラスのお姫様・・・・・・、沢田ちゃんには逆らえない。
 お姫様。沢田ちゃんには本当にその言葉が似あう。ふわふわの茶髪、ぱっちりした目に、卵型の輪郭。可愛らしい顔立ち。性格は、「意地悪な、お姫様」。

 志穂は沢田ちゃんに逆らうまいと必死ににやにやとして、私を見下ろす。
「社会のノート、かして!」

「え、っあ、いいよ」
 何だそんなことか。社会のノート、か。落書きくらいは食らうだろうけど、無視よりは、ずっといい。

 のの、みたいに。もう、無視されたくないな。
 いま、ののが無視されてるけど、その前は、私だったから・・・・・・。
「ありがとー!」
「ううん、全然、こんくらい。いつでも言ってよお。ねえ? 結実」
「うん・・・・・・」
なんでよ。なんで志穂が返事するの? 私のノートでしょう、それ。