「ところで、樋口くんはいつも歩道橋の手すりを歩いてるの?」 「いや、昨日はたまたまだ。」 たまたま手すりの上を歩くってどういう状況だ。 「バカの気持ちが分かりたくて。」 「は?」 「バカと煙は高いところが好きっていうだろ。だから人よりちょっと高いところを歩いてみようと思って。」 「…はあ。」 発想が斜め上すぎて理解できない。 「それで、バカの気持ちは分かったの?」 「いや、分からなかった。」