「…涙みたい。」
もしかしたらこの雨は、お兄ちゃんの涙かもしれない。
もっと生きたかったという、お兄ちゃんの悲しみ。
私さえいなければ、お兄ちゃんはもっと生きてられた。
そんなことを考えながらまたため息をつく。
ふと視線を廊下にやると、何か騒がしい。
「え、何?」
隣の席の子に聞くと、さほど慌てもせず答えた。
「なんか侵入者だって。やばいね。」
「まじで?」
「うん。他校の男の子らしい。」
「へえ。」
女子高に通いだしてから、割りと変質者に会うことが多い。だから慣れつつある。
変な趣味をもった人間もいるものだ。

