僕はルーズリーフをカバンにしまい、靴を脱ぐ。

「ねえ、君、名前はなんて言うの?」

「…西村隼人です。」

「何年生?」

「今日から2年になりました。」

「そう。僕は今日から3年の樋口幹生だ。」

「…先輩だったんですね。」

「はい、これ、僕の連絡先。」

「…え?」

「辛くなったらいつでも連絡していいよ。気が向いたら出てあげる。」

「…僕もう、死ぬんですよ。」

「死なないよ。」

「え?」

「君は死なない。死なせない。」

「…」

樋口さんは両手で俺の顔を挟んだ。

「君が戦うというのなら、僕は力を貸す。君が逃げたいというのなら、僕は方法を考える。だけど、死ぬのは許さない。自分を愛してくれた人を裏切るな。そして、自分自身を裏切るな。」