「…先生がこれ、資料室まで運べって…」

「はあ。君はどうしてどうでもいいとこでは他力本願なのに、本当に困ってるときは誰も頼らないんだ。」

「え?」

「どう見てもこの荷物、女の子一人で運ぶには重いだろう。」

なんだこいつ。

「まったく。ほら、行くぞ。」

「あ、うん。」

結局荷物は樋口くんが運んでくれた。私は資料室のドアを開けるだけだった。

「…ありがとう。」

「どういたしまして。」

不意に受けた優しさに、少しきゅんとしてしまった。