「前にも後ろにも進めない。未来なんて、闇に包まれてて、しんどくて。過去には、輝いてる自分がいて、眩しくて、悔しくて、見てらんなくて。どこを向けば浮上できる?」

樋口は鼻で笑った。

「前も後ろも見れないなら、上でも下でも見ればいいよ。」

荒川も頷く。

「そうだよ。いろんな方向があんだよ。斜めもあるし。」

「…そういうことじゃないよ。お前ら本当に偏差値高い高校の生徒かよ。」

思わず笑ってしまった。

「いや、そういうことだろ。」

「違うよ。全然違う。」