「上田さんは普通だからいいって、樋口が言ってた。」

「何それ複雑。」

「普通ってのはさ、人それぞれ違うじゃん。俺にとっての普通と、上田さんにとっての普通、樋口にとっての普通、それぞれ基準は違うでしょ。」

「うん。」

「でも、上田さんは普通なんだよ。みんなが思う『フツー』の中に上田さんが居る。偏りがないっていうのかな、いい意味で平均的で、だからこそみんなから受け入れられるんだと思う。」

「…私褒められてる?」

これだけ普通を連呼されたらなんだかなあ。

「うん、褒めてる。それに、上田さんは人のことちゃんと見て、人の話をきちんと聞いてる。」

「自分がフツーすぎるから、人に目がいくだけだよ。」

「なかなかできることじゃないよ。上田さんは、学級委員に向いてるんだよ。」

「…ありがとう。」