樋口幹生は呆れたようにため息をついた。
「全く話が見えない。君、国語苦手だろう。」
「だーかーら!兄貴と友達やめろっつってんの!」
「兄貴?」
あ。
「君、立花の弟?」
「そうだよ!くそ、バレちまった!」
「でも苗字が違うね。」
「親が離婚してんの!」
「あっそ。何?兄弟喧嘩でもしてんの?」
「違う!これは兄貴への復讐だ!」
「君の一方的な恨みか。」
「恨み…そうだよ!兄貴を恨んでるんだ俺は!兄貴が家を出たせいで俺は跡取りに…。」
「いいじゃん跡取り。将来安定じゃん。」
「良くない!そのせいで俺は毎日、友達と遊ぶ時間もなく、やりたくもない習い事に追われてるんだ!」
「ああ、だから立花が羨ましいと?」
「…羨ましい?違う!妬ましいんだ!」
「同じだよ。」
むかつく。なんで俺はこんなにムキになってんだ。こいつのペースじゃないか。

