ある日の学校からの帰り道。

車に揺られながら窓の外を見ていると、兄貴を見つけた。

学校帰りだろうか。耳にイヤホンをさして歩いている。

ちょうど信号が赤になり、兄貴はうちの車の前を横切った。どうやら俺には気づいていないみたいだ。

すると今度は、兄貴の後ろから3人の男子学生が歩いてきた。

にこやかな少年と、ガタイのいい強面の少年、ボサボサ頭の少年。

にこやかな少年が、兄貴の方に走っていき、飛びつくように肩を組んだ。

兄貴はイヤホンを外し、3人の学生と並んで歩いて行った。

「あ…」

青信号になり車が発進した。兄貴の姿がだんだんと小さくなっていく。