「…ごめんなあ、俺のせいで拓也は停学になったんだな。何も知らずに責めてごめんなあ。」

やめろよ。俺は兄貴をそんな顔にさせたいんじゃないよ。…そう言いたいのに言葉が出ない。

すると、樋口が口を開いた。

「なんでそんな悲しそうな顔をしてるの笛木。」

「へ?」

「君は嬉しがるべきだ。」

「は?」

…何言ってんだこいつは。

「君の弟は、家族のために怒れる、強い心を持った人間だ。そして、大切な家族を傷つけないために嘘をつける、優しい人間だ。」

「…」

「そんな弟がいることを誇りに思って喜ぶべきなんだよ君は。」