「あ、」 ボールが道路の方に転がっていった。それを誰かが足で止める。 「すみません。」 取りに行くとそこにいたのは、 「あれ。笛木の弟じゃん。」 「げ。」 「げ。ってひどくない?」 兄貴の友達の樋口だった。 「こんな時間に何してんの?」 何って…そうだ。 「なあ樋口、パス練付き合ってよ。」 「やだよ。僕は忙しい。帰ってゴロゴロしなきゃ。」 「暇じゃん。」 あからさまに嫌そうな顔をする樋口を引っ張って、パス練を始めた。