いよいよ、始まるんだ……!
動機はちょっと不純だけど、取材はしっかりとやらなくちゃ!
私は、カメラの準備を始めた。
気合の入った掛け声と共に、練習はどんどん進んでいく。
やっぱり大会1ヶ月前ともなると、雰囲気がちょっとピリッとしてる。
なるべく邪魔しないように、シャッターを切っていく。
カメラがいいから、動いてる選手もバッチリ撮れる。
平等に撮ってるつもりだけど、見返すとやっぱり篠崎先輩の写真が多い。
カメラのディスプレイに映った先輩も、カッコイイ……!
ああ、ほんとに夢みたいだ。
こんなに近くに先輩がいるなんて。
眺めてた日々が嘘みたい。
さっきの会話は、ちょっと素っ気なかったけど。
そこがまた格好良かったなぁ……!
先輩と話せたってだけで、
胸がぎゅーっとなって、苦しい。
もっと話したい。
もっと、声を聞きたい。
私の頭の中、篠崎先輩ばっかりだ。
ちらっと、右腕の腕章を確認する。
話せたのは、これのおかげかな。

