「やるじゃん、麻陽ちゃん!」
森下先輩が感心する。
「うへへ。頑張りました〜」
携帯は、篠崎先輩の番号を表示している。
それを見ると、どうしても口角が上がっちゃう。
「麻陽ちゃんまで寝坊するなよ」
「し、しませんよ!」
「どうだかね〜」
森下先輩はいたずらっぽく笑うと、篠崎先輩を追いかけて走っていった。
私も教室に戻らなきゃ。
もう予礼は鳴っている。
駆け足で教室に向かう。
その途中で、なっちゃんに会った。
「なっちゃーーん!おっはよーーー!」
そのままの勢いでなっちゃんに抱きつく。
「おはよ。なんかいつにも増して元気じゃない?」
「そうなの!聞いて!」
私は、篠崎先輩にモーニングコールをするようになったことを話した。
「良かったじゃん。
じゃあ………明日から?」
「えっ!?」
「何驚いてんの。
今日水曜だから、次の朝練明日でしょ。」
「う、うわぁぁぁ!?」
あ、あ、あしたか……!
そんなこと全然考えてなかった……!
「じゃ、じゃあ明日から私モーニングコールするの!?」
「分かってて申し出たんじゃないの?」
そ、そうなんだけど……!
なんかもう頼んだ時点で上の空というか……
そっか、私、先輩を起こすんだよね……
「どうしよう、緊張してきた……」
「あんたが寝坊したら篠崎先輩も道連れだね」
「森下先輩と同じこと言わないで!」
大丈夫、きっと私ならできる!
できる、…………はず!
その日は、いつもより1時間早く寝た。

