放ったボールが虹を描けば




「おまえ…………バカだな」



ずっと黙っていた先輩が、口を開いた。



「バ、バカ!?」



突然なんてことを……!



「ああ、最強のバカだよ。」


「なんですかそれ!」


「褒めてんだよ」


「嬉しくないです!」




なんだってんだ。



人のことをバカ扱いして。




「本当に、すげぇよおまえは…………」



そのとき、ぽつりと呟いた先輩の言葉を、私はしっかり聞き取った。



先輩の表情が重々しくなる。






「先輩…………?」



「俺は、苦手なことに挑むとかできない。

今だって…………」





…………スランプから抜け出せないって、思ってるのかな。



先輩の悲しそうな顔を見ていると、胸がぎゅっと締めつけられた。

 

「…………今日、入ったじゃないですか、シュート!」



どうにか励ましたくて、言葉を投げかける。



でも、先輩の表情は晴れなかった。



「あれは、たまたまで…………」