ダンッダンッ



その風が、運んできた音。



1週間、聞き続けた音。



私の耳は、ちゃんと反応した。






_______バスケットボールが、地面を跳ねる音。




なんで?

練習はもう終わってるはずなのに。



私は、駆け足で体育館へと向かった。



重い扉が、少しだけ開いている。



そっと覗くと、そこにいたのは______





「しのさき……せん、ぱい………」



1人で練習する、篠崎先輩がいた。



バスケ部の居残り練習は、禁止されている。



無理なオーバーワークで、体を壊すといけないから。



でも、今篠崎先輩は残って練習している。


怒られてもいいって思って、やってるのかな。






________________スランプだから?




汗をかいて走る先輩を見てると、胸になにか熱いものがこみ上げてきた。



今、先輩は、苦しんでるのかな。


今、先輩は、もがいてるのかな。



必死な姿から、焦っているのが私でもわかる。