翌日、僕は布団からはね起き、闇子の家に行ける喜びと未知の本を読めるという好奇心が支度を早めた。
ちょうどいい時間になったので、家を出てクルマに乗った。
約10分ぐらいで闇子宅へ着いた。
インターホンを押すと闇子が出てきた。
[おじゃまします]と言って、玄関の仕切りをまたいだ。
部屋に通されると、テーブルの端に座ることになった。
[ちょっと待ってて、お茶淹れてくるから]
[お構い無く]
そして、数分後に本題に入った。
[用意しておいたわ。はい、これ]
かなり、分厚かった。そして僕は本を開いた。序章にこう記されていた。
{この本を読む人に告ぐ、それらは現実であって現実ではない。事柄は千にも及ぶが、それでも一端でしかない。では恐怖に満ちた人生を}
(恐怖って何だろう?)
と僕は、頭をひねった。
{この世界は3次元であるが、実は多次元である}
[どういう意味だろう。闇子はどう思う?]
[そのまんまの意味じゃない。暁ちゃんがさっき見た影はどうなるの?あれは完全に2次元だわ]
[なるほど]
僕は虚をつかれた気持ちになった。
[それよりも、影について調べましょう]
[わかった]
そして、見つけた。
{影という生き物}
それを読むと、ぞっとした。
{影は光によって映し出されるが、自らの意志で現れている}
[そんなバカな!]
と僕は吠えた。
[意味が違うわよ。この本の著者は、それを生命体とは言ってないわ。要は物体と影との繋がりよ。影は動くものと一瞬の誤差もなく在るように見えるわ。だけどね、そこに矛盾が生じるのよ。もし、物体が光速で動いたらどう?影は消えてしまう事になるわ。そう、光によって映し出されているから]
[そうか、物体は時間を越えられない]
[その通り]

to be continued.