しばらくの飛行を経て、街の奥にある一つの城の庭に降り立った。
「ここがまさか、イリスさんのお家!?」
「そう、驚いた?あ!それとイリスでいいよ」
「わかった。イリスってもしかしてお姫様とかだったりするの?」
「まぁ、私のお母様がこの国を治めているだけで、別に私はそんなに高い身分ってわけじゃ」
いやいや、それって、王女ってことじゃん!
「へぇ〜そうなんだ」
自覚無いお姫様とか怖〜。
「じゃあ、ライムちゃんのお部屋を整備させるから、お風呂入ってきて!案内をつけるから」
そう言って、近くにいたメイドを呼んで何かを言っていた。

そして、僕は、案内されて脱衣場の中にいた。はっきりいって困っている。非常に困っている。その原因は、風呂の中に誰がいるのだ。しかも鼻歌とか歌ってるし!それに、僕は男の子だから『あれ』がついてることを忘れてはいけない…。どうする、どうする、僕はたっぷり10分程悩んで一つの結論に達した。
「諦めて女の子振りをして入ろう。バレたときにはその時だな、よし」
草や泥が所々に付いた服とズボンを脱ぎ、脱衣場に用意してあった長めのバスタオルを体に巻き、そして、いざ戦場(風呂)へ!僕はこっそりと風呂場の戸を開け中に入った。
「うわぁ……」
中に入った僕の目に入ってきたのは、ゆうに20人は一緒に入れる大浴場だった。さらに、床や壁というが風呂場のすべてが大理石?でできていた。その豪華さに入口で圧倒されていると、奥から、
「やっと入ってきたか、待ちくたびれぞ」
と、少しイリスに似た声が聞こえてきた。そして、ペタペタとタイルの上を歩く音がだんだん近づいてきた。僕の目の前にイリスと同じかそれ以上に輝く銀髪を腰よりもさらに長く伸ばし、全く無駄のないプロポーションわ僕は初めてリアルで女神を見た。僕はその美しさに圧倒され、固まっていた。
「ふむ、君がイリスが連れてきたという・・・」
「は、はい!べリネ・ライムです。これからお世話になります!」
「ライムと呼べばいいかな?」
「は、はい!」
「君ってよく見ると可愛い顔しているんだね。会ったばかりだけど、今夜私の部屋に来てくれないか?色々と話したいことがあるから。あっ、このことは私と君との秘密ということで頼むよ。それと、これを渡しておこう」
そう言って、女の人の手にあったものは一つの指輪。いったいどこから出したのやら・・・。
「これは・・・?」
「まぁ、はめてみればわかるよ。では、城の者が寝静まった時間に来てくれ」
「は、はい」
そう言い残して、その女の人は風呂場を出ていった。その後は、普通に体を洗い、浴槽に浸かり、疲れを癒した。そして、風呂場を出た時にまた問題が起こった。ここはお城なわけで、メイドさんがよく働くわけで、だいたい予想はつくよね?そうなんです。僕の着ていた服が無いんです!!そして、僕が服を脱いだ所にあるのは、白のネグリジェとその他諸々の下着など・・・下着など・・・下着!?
ま、待てよ、まさか女物の下着を着れと・・・いやいや、流石にそれは・・・でも、ノーパンはそれより嫌だなぁ。しかたない。今回は恥を捨てよう。

その日、僕は男として多くのものを失った気がした。