四季サイド
「おい!四季!起きろ!」
横から聞こえる声に薄く目を開ける。
四季「・・・うっせぇ・・・」
「お前な・・・こんなところで寝るなよ・・」
目を開けると横に飛鳥の姿が見える。
目の前には黒い傘。いや、藍色か・・・?
飛鳥「雨降ってる中寝てたら風邪ひくし通る人が死んでるのかと勘違いするだろーが」
酔い覚ますために外に出たときに寝たしまったのか。
飛鳥の言葉を聞きながら頭で考える。
四季「飛鳥、この傘は?」
飛鳥「あーたぶんさっきお前の近くにしゃがんでいた人のだと思う」
しゃがんでいた?なんで?
頭や体は屋根のおかげで濡れてねぇし・・・
濡れているといえば・・・
ふと足に目を向けると少し濡れていた。
靴と、ズボンの裾が濡れていた。
まさか、このために?
飛鳥「たぶんな。」
声に出していない俺の疑問に飛鳥が答える。
四季「・・・・・・」
俺の足を守るように置かれた傘を見る。
飛鳥「今時そんな優しい人がいるもんかねぇ」
四季「・・・」
俺は立ち上がり藍色の傘を畳んだ。
飛鳥「まっ、中に入ろぜ」
飛鳥の言葉に無言で店の中に入る。
四季(傘を置いたってことは雨が降っていたってことだ。
その人も濡れてしまったのではないか)
そんなことを思いながら店の中へ入った。
