「朔。祥弥と楽しかった記憶ある?」
「あぁ」
「どこかに遊びに行ったとか」
「まぁな。小さい頃遊園地に行ったりしてな。そん時すげぇ楽しそうだったけどな」
「他は、ある?」
朔は祥弥と楽しかった事を言った。
春は虫取りに行った。
夏は川に行って水の掛け合いをした。
秋は紅葉を見に行った。
冬は雪合戦をした。
あの時の祥弥は可愛かったと。
「その楽しかった事を共感し合えるのは、俺達じゃなくて兄弟である祥弥じゃないか?」
ページを捲る手が止まった。
「友達だけの楽しかった記憶。それは友達と共感し合えれる。家族の楽しかった記憶をあの時楽しかったと友達に言っても、ただ聞いて終わるだけ。でも家族は?話すと盛り上がるだろ?」
「そんな唯一の身近が、会えなくなるんだよ」
朔は本を閉じた。
「…行ってくる」
ベッドから降りて走っていった。



