鈴を保護してから1年後のある日、鈴は風邪を引いてしまった。

その事に皆は気付かなかった。

鈴は風邪を引いてもそれを態度に出さない。

出さないと言っても部屋から出たがらないから風邪を引いたのに気付けなかった。

気付いたのは昼ご飯を下げようと嶺の妻……桜が鈴の部屋に来た時だった。

鈴は倒れていた。

「鈴ちゃんっ!」

桜は慌てて鈴の傍に近付いた。

鈴の頭を触ると熱かった。

その事に気が付いた桜は嶺を呼んで鈴をベットに寝かせた

医者がきて鈴を見ようとした時、鈴が目を覚ました。

鈴が、嶺と医者の男性を見た瞬間、鈴は

「イヤァァァァァァ!来ないで!イヤァァ!」

叫んで暴れた。

3人はその事に驚いた。

その事に医者はいち早く気付き嶺に声をかけた。

「嶺……彼女は恐らく、“男性恐怖症”だ……ここは、一旦桜ちゃんに任せて部屋を出よう」

嶺は頷き部屋から出た。

「桜ちゃん……少しいいか?」

「えっ?えぇ」

そう言って2人とも部屋から出た。

鈴は、部屋に誰もいなくなったのに安心して叫んで暴れるのを止めた。

だけど、1度認識をしてしまった鈴は恐怖が消えなかった

鈴自身が、“男”が恐い事が分からなくて戸惑っている。

鈴は誰もいなくなったのに、安心した“はず”なのに、体の震えが止まらなくて涙が止まらない事が分からなくてどうしようもなく泣き震える事しか出来ない事が嫌だった。