2人きりになった部屋。


白雪は部屋のソファに腰掛け、私は自分のベットの上に座っていた。


私と白雪はずっと黙ったままだ。


2人きりになったのはいいけど、何から話したらいいか分かんない…!


私が1人で頭を抱えていると、白雪がおもむろに口を開く。


最初に沈黙を破ったのは白雪だった。


「アリスも俺から離れて行くのか…?」


「え…?」


白雪の声は弱々しく、まるで捨てられた子犬のように見えた。


「俺が大切に思ってた人は皆俺から離れてく。」


皆って…お母さんやクロさんの事?


でも、私にはそれだけじゃないようにも聞こえる。


「親父も、ラビーも、帽子屋も、アリスも…結局はいなくなるんだ。」


そこには、いつもの俺様で変態で意地悪な白雪はいなかった。


ただただ弱気で、自信を喪失した男の子。


私はベットから立ち上がり、そんな白雪に近付く。


そして、白くてキメ細やかな肌を持つ彼の頬を両手で挟み込んだ。


ムニッ


白雪は突然の事で目を見開いている。


「ら、らりするんらよ!(な、なにするんだよ!)」


「うるさい。」


「わ?(は?)」


「皆離れて行っちゃうとか、自分は好かれてないんだとか…」


「ふかれてはいとはひってねーほ。(好かれてないとは言ってねーよ。)」


「うるさいうるさい!」


「わあぁ?(はあぁ?)」


「離れたくないなら、大切に思ってるなら…自分で捕まえなさいよ!」


「……」


「自分で、離さないようにちゃんと掴んでなさいよ!」


「……」


「そうでもしないと、本当に皆いなくなっちゃうよ…」


「…はりふ?(アリス?)」


「私は、白雪が傷付く所なんて見たくない…」


昨日さんざん大泣きして、もう涙なんか出ないはずなのに…


私はまた涙を流していた。


「うう…グスッ…うぇ…グスグスッ」