「白雪が…」
「うん。その頃にちょうど母さん達が喧嘩して。」
「……」
「オレが『母さんに付いて行く』って言った時、アイツは迷わず父さんを選んだ。」
「…っ」
私は何も言えなかった。
こういう時、何て言っていいのか分からない。
だって今まで経験した事なんてなかったから。
私の周りにいた人達は皆両親がいて、何不自由ない生活をして。
「ごめん、急に重い話になっちゃったね。」
クロさんは申し訳なさそうにやんわりと笑った。
その笑顔は、どこか寂しそうに見えた。
「私は…クロさんの事好きですよっ」
「え?」
「まだ出会って間もない私が言うのも説得力ないかもですけど、クロさんはいい人です。」
「……」
「だから、気にする事ないですよ…」
「…ありがとう。」
そう言って、今度は照れくさそうに笑う。
私もそれに笑い返した。
「あの、もう1つだけ聞きたい事が…」
「ん?なに?」
「昨日、白雪が言ってた『もう誰も傷付けない』って、どう言う…」
私がそう言いかけた時。
バンッ!!
部屋の扉が勢いよく開かれた。
私達が驚いて振り返ると、扉の前には…
白雪とラビちゃん、そして、数十人の兵士達が立っていた。
「白雪…?」
白雪は私に見向きもせず、クロさんだけを睨み付けている。
「アリスの部屋から話し声が聞こえるって言うから来てみれば…!」
私にも聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟く。
「やっぱりお前か、黒雪!」
「ち、違うの白雪!クロさんは…っ」
剣を持って来てくれただけなの!と説明しようするが、私の声なんて耳に入っていない様子だ。
クロさんを見ると、さっきまでコロコロと表情が変わっていたのが嘘みたいに無表情を貫いている。
「オレは何も弁明しないよ、シロ。」
「…捕まえろ。地下牢だ。」
白雪のその言葉に、兵士達が「ハッ!」と言ってクロさんに掴みかかる。
クロさんは抵抗しようともしない。
「白雪!クロさんは何もしてないよ!」

