真っ赤なお城の真っ赤な門をくぐり抜けた所で、
白雪は「中の様子見てくる。」とどこかへ行ってしまった。
「ちょっ…」
こんな所に1人で置いて行かないでよ!
そう思っていると、耳元で「キュ?」とスノーが鳴いた。
「あ…スノー。」
よかった。スノーがいるなら心細くないや。
私は一安心し、改めて辺りを見回す。
すると、緑色に生い茂った木が何本もある事に気が付いた。
全部が全部赤色って訳でもないんだな…
ハートの女王も、さすがに自然には勝てなかったんだろう。
って事は、この芝生とあの川は人工的に作ったのね…
私はそんな事を考えながら木に近付く。
フサフサと風になびいている木には、赤いリンゴの実が成っていた。
私の手のひらのサイズくらいある大きなリンゴ。
それはツヤツヤと光沢を放っていて、思わずかぶりつきたくなるほど美味しそうだった。
「きれいなリンゴ…」
私は無意識に手を伸ばしてしまう。
「それ、あんまり触らない方がいいよ。」
もう少しで手が触れる…そんな時に背後から声がした。
驚いて振り返ると、男の人が立っていた。
「えっと…」
「毒リンゴだから。」
「えええ!?」
男の人のその言葉に慌てて手を引っ込める。
危なかった…!
この人が声をかけてくれなかったら私、絶対食べてた!
「教えてくれてありがとうございました!」
私はそう言って頭を下げ、それから男の人を見た。
うわー…この人すごいカッコイイ…