「スノーは、まあ…妖精みたいなもんだ。」


私達は、気を取り直してまた歩き出した。


「時計の妖精?」


「ちょっと違うけど…そのうち説明してやるよ。」


「えー、今じゃないの?」


「文句あるのか?」
 

「…ないです。」


私の返事に、白雪は満足したように頷く。


教えてくれてもいいのに…ケチ!


私がふてくされていると、頬をつねられた。


「着いたぞ。」


「痛い…っ何?どこに?」


白雪は私の言葉を無視してズンズンと歩いて行く。


私は白雪が歩いて行く方向に目を向けた。


その視線の先には、白雪のお城と同じくらいの大きなお城。


そして…


赤、赤赤赤赤赤赤赤赤…!


見渡す限り一面に真っ赤な世界が広がっていた。


お城の壁も、その横を流れている川も、芝生も、門も…


全てが赤く染められている。


「ここがハートの女王のお城…!」


私はお城を見上げて、ごくりと息を呑んだ。