ズンズンと進んでいると、目の前に白い建物が見えてきた。
それは近づくとどんどん大きくなっていき、自分の目を疑うほどだった。
「おっきい…」
これ、どっからどう見てもお城なんですけど。
この時代にこんな大きいお城が残ってたなんて…
しかも、この王子とか言う人…ここに住んでるの?
城の門の所には兵士の様な人が2人立っていて、王子に気付くとひざまずいた。
そして門を開ける。それに対し、王子とうさぎは無言で中に入って行った。
私も慌てて後に続く。
中に入ると、より一層目を疑った。
25mプールが5つくらいスッポリ入っちゃいそうなくらい広い。
陽が出でいる外よりも明るいんじゃないかと思うほどきらびやかな室内。
床には真っ赤な絨毯が敷き詰められていて、
天井には大きな大きなシャンデリア。
そこかしこに高そうな置物や壺などが置いてあった。
「なんか…舞踏会とか開いてそうね…」
私がそうつぶやくと、王子はクスクスと笑った。
「舞踏会なんかいつもやっているじゃないか。君も来たことがあるだろう?」
うーん…この人、私を誰と勘違いしてるんだろう?
突然、部屋の奥からダダダダーッ!と何かがやってくる音がした。
その音は明らかにこっちに向かっている。
「なにアレ?うさぎ?」
たくさんの真っ白なうさぎが勢いよくこちらに走ってくるのだ。
そのうさぎ達は服を来ていなかった。
いや、それが当たり前なんだけどね。
「「「「「王子!お帰りなさいませ!」」」」」
うわあ、皆声が揃ってる…
よく見ると、中には鹿や小鳥らしきのも混ざっていた。
やっぱり動物が話すんだ…何で話せるんだろう…
もう全然驚かなくなった自分の順応力にも驚いた。
「まあ!可愛らしいお嬢さん!」
鹿が私に気付いてそう言うと、動物達が一斉にこちらを向いた。
うっ…可愛い!
どうやら私は動物が好きらしい。
「お客さんだよ。ラビー、その方を客室でもてなしていて。すぐ戻る。」
王子はうさぎにそう告げて、どこかに行ってしまった。
「こちらでございます。」
うさぎは私の顔を見ようとしない。
「ねえキミ、最初と態度違いすぎない?」
「………」
無視ですか、そーですか。まあ別にいいけど。
私が客室で紅茶を飲んでいると、王子が戻ってきた。
さっきは無造作に風に揺れていた黒髪が、ピッチリとしてツヤツヤ光っていた。
この人…髪セットしてきたのか。
さっきの方がカッコよかったのにな…
「で?君はどこの国の王女だい?」
王子は私の目の前に座り問いかける。
「私が聞きたいんだけど…ここはどこなの?」
「どこって、グリム王国だよ。」
グリム王国?そんな国聞いたことがない。
「有名な貿易国さ。君の国でも有名だろう?」
「いや、聞いたことないけど…」
私がそう言うと、王子もうさぎも目をパチクリさせた。
そしてうさぎが口を開く。
「王子!やはりこの娘は王女なんかじゃございませんよ!グリム王国すらもわからない程身分の低い娘なのです!その証拠に、召し物も兵隊の様な格好ではありませんか!」
「へ、兵隊じゃないわよ?!確かにイギリスの伝統衣装でこんな感じの服があるけど…!」