いつもの場所

結局は被害を被ったネムが間に入りその場を鎮めたが、後味が悪いったらなかった。それ以来、絵里と外食するときはこちらが気を使うほどだった。



とにかく彼女がキレてしまうと誰も止められなくなるので暴走しないように、凛々子はどこにいくわけでもなく車を走らせた。



凛々子が運転する間、絵里は裕也に電話をかけた。長い長いコールをすでに10回はしていたが、一向に出る気配はなかった。



「仕事が長引いてるのかもよ。」



朱美の言葉で一度携帯をしまった。絵里はもし裕也が着信に気付かないだけならまたかけ直してくれるかもしれないという期待もあった。



それも束の間、5分もしないうちにもう一度通話ボタンをおした。コールがなろうとする前に小さな声で「今日はこれを最後にする」と呟いた。



しかし今回は数分前とは一転し、すぐに『カチッ』というような機械音がした。『もしもし』の声に絵里はすぐに電話の相手が裕也ではないことが分かった。