彼女の涙の理由はもう一つあった。最近では裕也のことで頭が一杯で、朱美の大切な試験の事も話し半分しか頭に入っていなかったことを後悔し、彼以外の事を疎かにしていることに自覚があった。
ずっと目指していた公認会計士の講義の受け付けも締め切りは2日前だった。公認会計士を目指すことになれば少なくともあと1年は卒業が延びる。裕也と一緒にいるには自分も稼がなければと根拠のない責任を感じていた。それにはこのまま既に受かっている税理士として来春から働こうと決めていた。
それからほとんど絵里と絵里の母は口を聞かなかった。帰宅が遅いと必ずかかってきた電話も一切なくなった。
約束していた『お弁当』は一日足りとも欠かさなかった。毎朝早く起きて自分の朝食とお弁当作り。彼や周りには『ダイエット』と言っていたが、本当は節約のため自転車で片道30分かけてお弁当を届けていた。その上、絵里の学校の時間と彼の就業開始時間が合わないため、裕也本人に直接渡さず彼の車のサイドミラーに吊るしていた。
二人はデートと言えばパチンコ、セックスはもっぱらいつもの場所で車の中、お弁当を届ける朝。絵里は変わらない毎日を充実していた。
月に2度程は斎藤との密会も続いていた。
それが半年ほど続いた頃、お弁当を作っている最中に母が「これ。」と茶色い瓶を差し出した。
「私が毎年漬けている梅干しよ。今年はうまくできたわ。一粒お弁当に入れなさい。防腐剤の役目になるわ。」
絵里は笑顔で受け取った。
「ありがとう。」
そしてその日の朝も自転車をこぎ彼の車がようやく見え出した瞬間、絵里はいつもの車の位置に違和感があった。
ずっと目指していた公認会計士の講義の受け付けも締め切りは2日前だった。公認会計士を目指すことになれば少なくともあと1年は卒業が延びる。裕也と一緒にいるには自分も稼がなければと根拠のない責任を感じていた。それにはこのまま既に受かっている税理士として来春から働こうと決めていた。
それからほとんど絵里と絵里の母は口を聞かなかった。帰宅が遅いと必ずかかってきた電話も一切なくなった。
約束していた『お弁当』は一日足りとも欠かさなかった。毎朝早く起きて自分の朝食とお弁当作り。彼や周りには『ダイエット』と言っていたが、本当は節約のため自転車で片道30分かけてお弁当を届けていた。その上、絵里の学校の時間と彼の就業開始時間が合わないため、裕也本人に直接渡さず彼の車のサイドミラーに吊るしていた。
二人はデートと言えばパチンコ、セックスはもっぱらいつもの場所で車の中、お弁当を届ける朝。絵里は変わらない毎日を充実していた。
月に2度程は斎藤との密会も続いていた。
それが半年ほど続いた頃、お弁当を作っている最中に母が「これ。」と茶色い瓶を差し出した。
「私が毎年漬けている梅干しよ。今年はうまくできたわ。一粒お弁当に入れなさい。防腐剤の役目になるわ。」
絵里は笑顔で受け取った。
「ありがとう。」
そしてその日の朝も自転車をこぎ彼の車がようやく見え出した瞬間、絵里はいつもの車の位置に違和感があった。
