いつもの場所

「幸子?あ~あいつね。なんか仕事関係の人でこの前飯食ったんだけど、なんか気に入られちゃってさ~。強引に番号聞かれて彼女づらしてくんだよね。うざいわ~。」



それを聞いたとたん絵里の心はすーっと軽くなった。




「疑うようなこと聞いてごめんね。でも信じてたからよかったわ。」




「俺は…お前だけが好きなんだよ。」






絵里は自分が情けなかった。こんなことで疑ってしまうとは。そしてその言葉の嬉しさのあまり涙がにじんだが、それに気づかれまいと初めて自ら裕也に抱きついた。




ふわっと香るタバコの臭いは今では絵里のアロマのようなもの。ずっと落ち着く香りだった。




それから再び座席が倒され、絵里は裕也に身を委ねた。



絵里は二人の距離が縮まった気がして、ある提案をした。



「裕也くんいつもお昼はコンビニ弁当でしょ?整備の仕事なんて体力勝負なんだから、栄養つけるために私毎日お弁当作るよ。」



「まじ?ラッキー、ありがとう。」



そしてこの日も早めに帰宅した。