いつもの場所

11. 愛される実感



それから数日間は勉強も手につかなかった。人に話せば『浮気』という疑念が真実に変わる気がしていつもの3人に相談すらできずにいた。



電話の内容は明確だった。二股を疑っていた『幸子』という女性は、絵里と手を組んで裕也への仕打ちを打診した。だが浮気という確証が得られていない、何かの間違いだ、という気持ちから絵里は強気にそれを軽くあしらった。



しかし恋愛経験の少ない彼女にとってはかなり衝撃だった。現に勉強も手につかないのであればやはり真実が知りたいという思いが日に日に増した。



次の日曜、いつもとは違うパチンコ屋にきていた。そこは自宅から車でおよそ1時間もかかる場所だったが彼女はドライブ気分で楽しんでいた。



都合よくその日はかなり儲けが出た。



「はい、これ今日勝った分。お前にも分けてやるよ。」



そういって、絵里が出資した金額を下回る配分だったが、彼女はとにかくその裕也の優しさが嬉しかった。



お礼を言ったあと、気になっていた『幸子』の存在について聞いてみることにした。なかなか切り出せずにいたので、すでに一時間ほど車を走らせて『いつもの場所』に二人はいた。



「裕也くん。実は聞いておきたいことがあるの。」



裕也はタバコに火をつけながら「ん?」と声になったかならないかの返事をした。



「実はこの前、『幸子』って女から電話があったの…。裕也くんの彼女ですって言ってた。」



裕也は全く同様をみせなかった。