いつもの場所

そのあとは牛丼屋で裕也の夕食に付き合い早々と帰宅した。



「お前の親、いつも帰りが遅いと心配するだろ。」



絵里は自分の事を本当に分かってくれている裕也への想いはつのるばかり。少しの時間でも共有したいと思ってくれていることが幸せだった。



帰宅して一息つくやいなや、知らない番号からの着信に気付いた。不審に思った絵里はすぐには出なかったが、明らかに長いコールにただ事ではないと通話ボタンをおした。




「もしもし?」



「あの~絵里さんでよかった?」



「あ、はい。どちら様でしたか?」



「私……裕也の彼女です。」



絵里は心臓が飛び出そうだった。しかし、彼女の辞書に『裕也が浮気』なんて言葉は少しもなかった。とにかく何かの間違いだと思い、鼻息荒く答えた。



「いや、すいませんが、私の彼氏です。」



「やっぱり…。あの、私幸子っていいます。ずっと彼の行動がおかしいと思ってたから携帯を覗いたら…あなたとのやりとりがあって確信しました。私たち二股されてます。」



絵里は頭が真っ白で思考が止まった。