いつもの場所

8. 愛されること

その晩、半同棲していた若林のアパートには帰らず久しぶりに自分のマンションへと戻っていった。



「元気?」



この一文を何度も何度も読み返した。



送信された日にち、時間までもがネムのあたまにインプットされるほど。



メールが送られた時間から時差を計算して、その時間に直樹は何をしていたのだろうか…平日だったのに学校はなかったのか…そんなことを考えているうちに時計はあっという間に12時を過ぎた。



そしてようやく返信しようと、文字を打ちはじめた。



その時だった。不意に着信音が鳴り、直樹かもしれないと慌てて通話ボタンを押した。



画面を見るやいなや、ハッとした。



若林だ。



「も、もしもし?」



「…ネム…」



「どうしたの?明日はテストって言ってたから今日は帰ったけど、まだ起きてたのね。」



「…ネム。今から会える?」



「え、今から?!大丈夫だけど…」



ネムはまさか若林が直樹の存在を知っているとは知らずに、このタイミングの悪さにため息が出た。



「俺、今ネムの家の外にいる。」