ライ、と呼ばれた少年はかすかに呻いて目を開けた。目の前に眩しいほどの金が広がる。
「う、ん……。ん、リア」
 ライは少女――リアを認めたが、まだ寝ぼけているらしい。ごろん、と反対側を向いて背を丸めた。
「まだ、眠いんだ。もう少し……」
 そう言って、また寝そうになったライの背中をリアがゆっさゆっさと揺らした。
「いや、寝るなら家で寝て! じゃないと風邪ひく」
「んぁ……? まだ昼だろ? いいじゃんか」
 うっ、と何とも言えない顔をしたリアは気まずい思いをしながら、慎重に声をかける。
「えっと、ライ? 今は夕方……デス。」
「は?」
 重い瞼を上げて空を見れば、確かにもう茜色に染まっている。
(きれいな夕暮れ空だなぁ。……じゃなくてっ)
こちらも何とも言えない顔でリアを見た。
「リア? お前、今来たのか?」
 ビクっとリアの肩が跳ね上がり、目が泳ぎ出した。
「え、大分前、かな……?」
「リア」
 短く、責められるように言われた。
 もともとバレているのもわかっていたので、素直に答えた。しかし、うつむき加減で。
「うう、今来たばっかりです」
 ライはよろしい、と言わんばかりに一度頷いた。それから、はぁ、と息を吐き呆れ顔になって尋ねた。