「良い社会勉強になると思うから、凛にも体験学習させんだよ。」
そう告げると、私へとグラスを差し出す瑞希お兄ちゃん。
「ほら、凛。カッフェ・ドルゾ。」
「あ、ありがとうございます。」
渡されたのは、グラスに入っていたのは『カッフェ・ドルゾ』。
あまり聞きなれない名前ではありますが、カフェインゼロの麦からできたコーヒーのエスプレッソです。
コーヒー豆で作ってないので、『カッフェ』とよばれてて、小さなお子さんからお年寄りまでカフェインを気にせず飲めます。
ミネラルたっぷりの健康飲料でもあるのです。
〔★思いやりのこもった一杯だ★〕
「成長期の凛に、コーヒー飲ませ過ぎるのもあれだからな?」
「ありがとうございます!そこまで僕のことを・・・・!」
「そりゃあ、可愛い弟だからな~?」
笑顔を向けられ、『カッフェ・ドルゾ』を手渡される。
そのカフェインには、ストロー付きで氷が浮いていた。
マスクをしていても飲めるようにという瑞希お兄ちゃんの優しさが、ストローとして飲み物についていた。
(あああ~!瑞希お兄ちゃんの愛を感じる!)
〔★ついでに子ども扱いもだ★〕
幸せ気分で、ストローの先を口にくわえる。
冷たい飲み物が喉をうるおし、体の熱を消して行ってくれた。
そんな様子を見ていた瑞希お兄ちゃんが、質問してきた烈司さんへと言葉を返す。
「店の手伝い見て、わかってんだろう?凛は、接客に向いてるって。」
「そりゃあ、愛想は良いし、手際もいいからな。」
「あと、可愛くて素直~♪」
「計算間違いも少ない。」
「わはははは!」
「けど、体験学習ってレベルじゃねぇぞ、祭りの忙しさは?」
「そうねぇ~可愛い子には冒険させてあげたいけどォ~」
「いろんな人種が来るからな。テンパったらどうする?」
「わっはっはっ!」
「遊びでするわけねぇよ!そうだよな、凛?」
「え?」
心配そうに言う烈司さんと、そう言って私に問いかける瑞希お兄ちゃん。
〔★凛に話がふられた★〕


