彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



夏休みを迎えた夜の街は、学生たちでにぎわっていた。

見回りの補導員たちの目をかいくぐり、若者達は今日も自由に遊んでいる。







「ねぇ~桃山女学院の噂、聞いたー?」

「知ってる、お金でもみ消したみたいだけど~」

「しかも、『あの人』が関係してるんだもんねー」





大人びた姿で、楽しそうに女子達が話す。







「JAGUARの話聞いたか?」

「すげーよな!?日本1の半グレのトップをやめさせたんだろう!?」

「はあ?蛇の目のことじゃねぇの?」

「ばか!半グレ1位の座を捨てるぐらい、幡随院長政は『あの人』にベタ惚れしたらしいぜ!」

「SHIELDからも、そのカリスマで可児良信を引き抜かれてよぉ~」

「爆裂弾の円城寺大河も、高千穂カンナ達もなぁ~」

「マジですげーよ!」





熱に浮かされた目で、ささやき合う男子達。






「「「『あの人』は・・・・・・【凛道蓮】って何者!?」」」






龍星軍4代目総長・凛道蓮。

伝説の暴走族を受け継いだ男は、謎に包まれた少年。

悪名高い蛇の目を消滅させ、日本の半グレの頂点にあったJAGUARのリーダーを支配下においた男。

その絶対的な強さに反する見た目は、敵に回った者しかわからない確かな恐怖を与える。

『ジャック・フロスト』の異名に相応しい、愛らしくも恐ろしい人物。





「って、噂になってるぞ、凛?」

「僕は普通のブラコンです!」

「あはははは!総長もつけろよ?ブラコン総長~?」





後日、瑞希お兄ちゃんから聞かされた自分の話にガックリくる。

良いことと言えば、本日も瑞希お兄ちゃんの部屋で2人きりということぐらい。

イスではないテーブルに直(じか)に座り、職場で教えてもらった内容を復習している瑞希お兄ちゃん。

その背中に持たれながら、夏の新作コーヒーメニューを眺めている私。

涼しい部屋の中、背中越しで伝わる体温はなぜか心地いい。