彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)






「お前のことは聞いてるぜ、凛道蓮。」





それまで黙っていた長政がしゃべった。

見た目に反して落ち着いた口調。

雰囲気に通りの冷静な態度。






「どう聞いてるんでしょうか?」






私の問いに、低い声で日本一の半グレは言った。






「世間に蛇の目の不利な噂流して、外堀うめてくれたそうだな?」

「はあ?」

なにそれ?


「お前と『兄弟』の喧嘩のはずが・・・・兄弟を病院送りにしたのは、お前じゃなくて、引退したはずの真田瑞希なんだって?」

「なに言ってるんですか!?あれはー」


「言い訳は聞かねぇ!!」






突然、大声で怒鳴りつけると、腕組みをしながら幡随院は言った。






「お前の言い分はどうでもいい。聞くぐれーなら、俺は東京からこんなとこまで、下ってこないからな・・・!?」






そういうと、自分の肩に手を回している男の腕をトントンと軽く叩く。







「下がってろ、菊千代。『兄弟』・・・」

「気をつけろよ、長政!俺の大事な『兄弟』・・・!」


(何が大事よ・・・!?)






いやらしさのこもった蛇塚の目を、私は見逃さなかった。

そそくさと離れる本来の敵に、はらわたが煮えくり返る。

しかしそれは、もう一人の兄弟も違う意味で同じだったらしい。






「俺をここまで引っ張ってきたってことは、覚悟了解だよなぁ~?凛道蓮・・・!?」






そう言いながら上着を脱ぐJAGUARのリーダー。

脱いだ上着は、駆け寄ってきた側近の手に渡る。

恭しく受け取ると、リーダーの邪魔にならないように後ろへと下がっていった。

それだけでも、蛇の目とは大違いだ。





(そんな相手と戦うなんて・・・)





長政の言い方は、何か引っかかった。

目だけで蛇塚を見れば、口元だけで笑っている。






(あいつ・・・嘘でも吹き込んだんじゃないかしら・・・?)


ここまでの流れで、十分、相手が勘違いしてることは伝わっている。


(できれば喧嘩は避けたい・・・となると、確かめておいた方が良いよね?)


「蛇塚のいとこ君、あなたの言い分はわかった。でもね、言いわけと言われても、君とのタイマンを受ける―――」

「のは、俺が相手だ!!」

「は?」

「テメーの相手は、凛さんじゃない!俺だ!」

「可児君!?」






そういうと、早歩きで私の側にやってくる可児君。