「お前のことは聞いてるぜ、凛道蓮。」
それまで黙っていた長政がしゃべった。
見た目に反して落ち着いた口調。
雰囲気に通りの冷静な態度。
「どう聞いてるんでしょうか?」
私の問いに、低い声で日本一の半グレは言った。
「世間に蛇の目の不利な噂流して、外堀うめてくれたそうだな?」
「はあ?」
なにそれ?
「お前と『兄弟』の喧嘩のはずが・・・・兄弟を病院送りにしたのは、お前じゃなくて、引退したはずの真田瑞希なんだって?」
「なに言ってるんですか!?あれはー」
「言い訳は聞かねぇ!!」
突然、大声で怒鳴りつけると、腕組みをしながら幡随院は言った。
「お前の言い分はどうでもいい。聞くぐれーなら、俺は東京からこんなとこまで、下ってこないからな・・・!?」
そういうと、自分の肩に手を回している男の腕をトントンと軽く叩く。
「下がってろ、菊千代。『兄弟』・・・」
「気をつけろよ、長政!俺の大事な『兄弟』・・・!」
(何が大事よ・・・!?)
いやらしさのこもった蛇塚の目を、私は見逃さなかった。
そそくさと離れる本来の敵に、はらわたが煮えくり返る。
しかしそれは、もう一人の兄弟も違う意味で同じだったらしい。
「俺をここまで引っ張ってきたってことは、覚悟了解だよなぁ~?凛道蓮・・・!?」
そう言いながら上着を脱ぐJAGUARのリーダー。
脱いだ上着は、駆け寄ってきた側近の手に渡る。
恭しく受け取ると、リーダーの邪魔にならないように後ろへと下がっていった。
それだけでも、蛇の目とは大違いだ。
(そんな相手と戦うなんて・・・)
長政の言い方は、何か引っかかった。
目だけで蛇塚を見れば、口元だけで笑っている。
(あいつ・・・嘘でも吹き込んだんじゃないかしら・・・?)
ここまでの流れで、十分、相手が勘違いしてることは伝わっている。
(できれば喧嘩は避けたい・・・となると、確かめておいた方が良いよね?)
「蛇塚のいとこ君、あなたの言い分はわかった。でもね、言いわけと言われても、君とのタイマンを受ける―――」
「のは、俺が相手だ!!」
「は?」
「テメーの相手は、凛さんじゃない!俺だ!」
「可児君!?」
そういうと、早歩きで私の側にやってくる可児君。


