指定されたのは、港の近くの倉庫。





(いかにも、白い粉とか機関銃の取引をするのにピッタリの場所だなぁー・・・)





そう思いながら、車が出入りしている入口に向かう。





「あれ?」





ガードマンでもいそうなゲートは、完全に開いていた。





(罠かなぁ~・・・・)





このまま入ったら、落とし穴とかあるんじゃない?

敵が隠れていて、集団で攻撃してこない?

あるいは、ハチの巣にされる?



〔★凛は警戒を強めた★〕



ゆっくりと、スピードを落として止まる。

バイクのライトが入口を照らす。






「凛道蓮か!?」





そう言って、誰か出てくる。

バットやゴルフクラブを持った男が数人。





「どちら様?」

「質問に答えろ!凛道蓮だな!?」

「人にバット向けながら言わないでください。・・・・見りゃ、わかんだろう・・・!?」





最初は優しく、最後はわざと低い声でうなるように言う。

それで男達は、うっ!とか言いながら後退した。

だから、ハンドルから両手を下ろしながら言った。





「わっざわざ!目立つ白服で、決めてきてんだぞ!?全身で挨拶してんだろうっ!!?」





―――――――バウンッ!!







軽くふかして、単車を斜めに滑らせる。

肩から背中が相手に見える姿勢になる。

腕に刻まれた『4代目総長』と背後の『龍星軍』の文字がわかるように。





「くっ・・・!たしかに、本物だな・・・!」

「長谷部と吾妻は?」





通常の声に戻しながら聞く。





「案内する!」





これで、左右から単車を押した男達が出てきた。





(エンジンをかけずに待っていたのね・・・)





その方法なら目立たないし、何人隠れているかわからないわね。

分籍していれば、私の名前を聞いてきた奴が言った。





「ついて来い!」

「どこまで?」

「黙って、従え!人質がどうなってもいいのか!?」

「目印ぐらい聞いてもいいでしょう?ガス欠が足りないかもしれないから。」

「はあ!?満タンで来いよ!」

「つーか、すぐそこだっての!」

「どこ?」

「だから!あそこの赤く光ってる~」

「ああ、あそこ?」





指さしながら言う相手に、確認を込めて指さす。





「あれですか?一か所だけ、赤いライトで照らされてるところですね?」

「そうだよ!それぐらいの距離もないって言うのか?」

「ありますよ。どうもありがとう。」



バウ―――――ン!





お礼を言ってアクセルをかける。