「お前・・・いつ、受け取ったんだ?」
「・・・あなたが、救急車に乗せられた直後です、円城寺君・・・」
「だから、あの時、オメーはー!?」
「見捨てて逃げたんじゃないんです。」
目を見開く相手を見ながら言った。
「怖くて、動けなかったのは確かですが・・・・逃げたんじゃないです。」
誤解されても仕方ない行為。
でも、凛君が関係してるなら―――――
「早く、知らせなきゃって、思ったから、私・・・・!」
放置してしまった。
「け、警察にもまだ言ってなくて!目撃証言とかしてなくて、私は・・・!」
そこまで言ったら、急に彼を見ていられなくなった。
いびつなタイルの地面を見ながら告げる。
「助けてくれた人を、円城寺君を見捨てるような真似を・・・してしまいました・・・!本当にごめんなさい!!」
「お前は悪くない。」
私の謝罪に、円城寺君ではない声が答える。
「高千穂さん・・・!?」
「ちゃんと見たぜ、小林。」
指でメッセージカードを、トントンと叩きながら彼女は言う。
「敵も手の込んだことをしてくれたが、あたしらの先輩の方が一枚上手だったみてぇだな?」
「同感だ!さすが、凛さんを育てただけのことはあるぜ!」
「うはははは!凛がおったら、育ててもらった覚えはあらへん言うけどなぁー?」
「あ、あのみなさん、お静かに!どこで敵が聞いてるか~!」
「聞かせるかよ。」
興奮する3人に言えば、バイクにまたがっている人が言った。
「こいつは、口に出すしろもんじゃねぇ。ただの見舞いとわびの手紙・・・そうだろう、小林?」
「円城寺君。」
「怒鳴って悪かったな。おかげで、感謝感激で大助かりだ・・・!」
そう語る眼がギラリと光った時だった。
「ちょっと、大河~さっきからうるさいよ!?出かけるの!?」
その言葉に合わせ、玄関の扉が開く。
逆光で見えないが・・・
「うるせぇ、ババア!流すだけだ!」
「なによ~バカ息子!瑞希先輩にぃ~あんまり構ってもらえなかったからぁ~イライラしてんでしょー?」
円城寺君のお母さん・・・?
〔★凛にお弁当のデリバリーを頼んだ大河の母だ★〕


