「ねぇ、眼鏡ちゃん、あなた外泊ってよくする方?」
「え?外泊ですか?はい・・・幼馴染の家とか・・・結構行きますが・・・」
「じゃあ、お家にはそう連絡しなさい。あなたも巻き込まれたなら、ラストまで見届けてみたくなーい?」
「見届ける?」
その言葉で、胸が高まる。
それがどういう意味か、まだ理解できてないけど。
「『ラスト』を・・・見届ける・・・?」
なぜだか、胸がドキドキして、少し不安もあるけど、ワクワクもしていた。
まるで、遊園地のジェットコースターに乗る前の時のような気分。
「どうする、涼子ちゃん?幼馴染にの家にお泊りするって嘘はつける?凛ちゃんのために、悪い子ちゃんになれる。」
「なれます!」
気づけば、大きな声で返事をしていた。
「悪い子ね♪好きになっちゃったわ♪」
私の返事に、満足そうにオネェさんは微笑む。
変わった信号に合わせて、アクセルを踏む。
「さあ、そうと決まれば、幼馴染ちゃんにうまくいって、お家にも嘘を連絡しなさい♪」
「あ、は、はい!」
そう言われ、携帯を取り出す。
パネルをタッチする。
一通は、幼馴染へ口裏合わせのメールを。
もう一通は、幼馴染の家に泊まるという嘘をLINEでお母さんに送った。
「終わったぁ~?」
「は、はい!」
「もう少しでつくからねぇ~」
「わかりました・・・」
そう言われて、窓の外を見る。
見慣れないスーパーやコンビニを通り過ぎ、シャッターのしまった店の前を通過していく。
(初めて、お母さんに嘘をついたわけだけど・・・・)
幼馴染からはすぐに返事が来て、『真面目っ子がついに外泊!?』と冷やかしの文面だった。
お母さんに関しては、疑うことなく、『わかったから、相手のお宅にご迷惑をかけないようにね?』と返事された。
ドキドキする。
心臓の音が小さくならない。
深呼吸しながら、早く着かないかと思う。
「・・・・・・どこへ?」
「なぁ~に?どうしたの?」
「どうしたじゃないですよ・・・どこへ向かってるんですか・・・・?」
話に夢中になるばかり、気づくのが遅れた。
私の家とは真逆の方角へと進む車。
警察署は近くにないし、幼馴染の家だってこの人は知らないはず。
(ラストを見届けようと言いましたが――――――)
「どこへ、私を連れて行こうとしてるんですか!?」
「どこまでいけるかは、あなたの『運』次第よ、小林涼子ちゃん?」
フルネームで呼ばれたと思ったら、車がゆっくりと停車した。


