彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)






「ねぇ、眼鏡ちゃん、あなた外泊ってよくする方?」

「え?外泊ですか?はい・・・幼馴染の家とか・・・結構行きますが・・・」

「じゃあ、お家にはそう連絡しなさい。あなたも巻き込まれたなら、ラストまで見届けてみたくなーい?」

「見届ける?」





その言葉で、胸が高まる。

それがどういう意味か、まだ理解できてないけど。






「『ラスト』を・・・見届ける・・・?」






なぜだか、胸がドキドキして、少し不安もあるけど、ワクワクもしていた。

まるで、遊園地のジェットコースターに乗る前の時のような気分。





「どうする、涼子ちゃん?幼馴染にの家にお泊りするって嘘はつける?凛ちゃんのために、悪い子ちゃんになれる。」

「なれます!」





気づけば、大きな声で返事をしていた。





「悪い子ね♪好きになっちゃったわ♪」





私の返事に、満足そうにオネェさんは微笑む。

変わった信号に合わせて、アクセルを踏む。





「さあ、そうと決まれば、幼馴染ちゃんにうまくいって、お家にも嘘を連絡しなさい♪」

「あ、は、はい!」





そう言われ、携帯を取り出す。

パネルをタッチする。

一通は、幼馴染へ口裏合わせのメールを。

もう一通は、幼馴染の家に泊まるという嘘をLINEでお母さんに送った。





「終わったぁ~?」

「は、はい!」

「もう少しでつくからねぇ~」

「わかりました・・・」





そう言われて、窓の外を見る。

見慣れないスーパーやコンビニを通り過ぎ、シャッターのしまった店の前を通過していく。





(初めて、お母さんに嘘をついたわけだけど・・・・)





幼馴染からはすぐに返事が来て、『真面目っ子がついに外泊!?』と冷やかしの文面だった。

お母さんに関しては、疑うことなく、『わかったから、相手のお宅にご迷惑をかけないようにね?』と返事された。


ドキドキする。

心臓の音が小さくならない。

深呼吸しながら、早く着かないかと思う。





「・・・・・・どこへ?」

「なぁ~に?どうしたの?」

「どうしたじゃないですよ・・・どこへ向かってるんですか・・・・?」





話に夢中になるばかり、気づくのが遅れた。

私の家とは真逆の方角へと進む車。

警察署は近くにないし、幼馴染の家だってこの人は知らないはず。





(ラストを見届けようと言いましたが――――――)





「どこへ、私を連れて行こうとしてるんですか!?」

「どこまでいけるかは、あなたの『運』次第よ、小林涼子ちゃん?」





フルネームで呼ばれたと思ったら、車がゆっくりと停車した。