「お願いです、オネェさん!凛君1人で行かせるなんて、やっぱり納得できません!他のみなさんに知らせて下さい!」
「ダメよ。」
私のお願いを、相手はあっさりと却下する。
「涼子ちゃんね、族には族のルールがあるの。」
「暴走族の・・・決まりですか?」
「売られた喧嘩は買い、売った喧嘩は買わせる。悪質なバカになれば、敵の仲間をさらうぐらいして当たり前。」
「あなたは、誘拐することはおかしくないと言うのですか!?」
「なわけねぇだろう。」
「っ!?」
正面を見ていた顔が私を見る。
細めた目で、口の橋だけあげて笑う。
メンズモデルみたいな顔が、オネェさんの口調が、『男』に見えた。
「相手の大事な物を奪ってまで勝とうって根性、あたしらは気に入らない。」
「え?でも、今の話は・・・」
「ヤンキーの一般論よ。邪道だとあたしらは思うけどね。」
「あたしらというのに・・・凛君も含まれてますよね?」
「当然よ。初代が教えたわけじゃないのに、自分で『硬派』をしてるからね。」
そう言ってくれた時、相手は元の表情に戻っていた。
ニコニコしながらオネェさんは言う。
「これがねぇ~タダのやんちゃ集団なら無茶してもいいんだけど、そうもいかないのよね。」
「え?」
「相手はヤクザの身内を持ってるから、うかつに刺激すると捕まった2人がなにされるかわからないからねぇ~」
「ヤクザ!?」
出てきた反社会的な言葉を聞き返す。
「ヤクザ予備軍じゃないんですか?」
「パンピーの子なら、そう思ってるでしょうね~悪いけど、最近になってヤクザも乗って方向になっちゃったのよ。」
「そ、そうでしたか・・・いろいろあるんですね、不良の世界って。」
「ほーんと、どこかのカワイコちゃんのおかげよ~」
(誰だろう??)
〔★涼子が助けを求めた相手だ★〕
オネェさんの話を聞き、現実を理解する。
「やくざ者の集団が相手なら・・・凛君は一人で立ち向かうしか方法がないんですね・・・。」
「口止めされてるしね~」
「言っちゃダメ・・・ですよね・・・?」
「そう書かれてたでしょう、眼鏡ちゃん♪だから~言わなければいいのよ?」
「え?」
「『言葉』じゃなくても、伝わることってあるじゃない?」
その言葉に合わせて、車道で車が止まる。
前を見れば、信号が赤になっていた。


