夏場は、日が暮れるのが遅い。
オレンジ色が長かった空が、薄暗く変わり始めていた。
「ごめんねぇ~すぐ使える車がこれしかなくてぇ~」
「い、いえ・・・お気遣いなく・・・・」
「ありがとぉ~!これ、レンタル車なのよねぇ~今年の夏の夜店専用で使うように借りた車でぇ~その移動で使ってるのよん♪」
(カッコいい人なのに・・・残念だわ・・・・)
助手席の私に常に話しかけているのは、モデルとも俳優とも言っても通用するぐらいの美形の男の人。
(でも、凛君が言うには、『女性』らしいんだけど・・・)
この八頭身と、とろんとしそうな目力。
(しゃべり方からして、オネェさん・・・?)
ニューハーフ?
おかま?
―「おかま」とだけは、絶対に言ったらだめだよ。―
別れ際、そっと私の耳元でささやいた凛君。
(わざわざ、教えてきたということは、言ったらアウトってことよね・・・?)
「あの。」
「ねぇ。」
声を出したら、相手も口を開いた。
お互いに対して、同時に呼びかけていた。
「あら、ごめんね~お先にどうぞ♪」
「い、いえいえ!ここは、目上の方が~お先にどうぞ。」
「まぁ、謙虚な良い子ね~凛ちゃんと似てるかも。」
メンズモデルのような顔で女性言葉をしゃべられ、愛想笑いをするので精いっぱい。
〔★涼子はとまどっている★〕
「それじゃあ~お言葉に甘えて、モニカちゃんから聞いちゃうねー?」
「ど、どうぞ、どうぞ!」
「凛ちゃんが心配?」
「っ!?」
その言葉で、うつむいていた顔を相手に向ける。
何を考えてるか読み取れない顔で、私を見つめていた。
でも、オネェさんの瞳がとても優しかった。
怖くなかった。
だからすぐに返事で来た。
「心配です!」
運転手であるオネェさんに言った。
「凛君が強いのは知ってますが、彼は優しすぎます!」
「優しすぎると心配なの?ケンカしに行くだけよぉ~?」
「だから心配なんです!凛君・・・仲間が人時にされていたら、本気で戦えないと思うんです。」
―涼子ちゃん―
地味でダサくて、パッとしない私にも優しいヤンキーの王子様。
「人質を盾に、無抵抗にでも持ち込まれたら・・・・!」
想像しただけで、目の前が真っ暗になる。
「絶対、危ないです!」
最悪の事態を思い、隣にいるオネェさんに訴えた。


