「そいつらが、オメーのせいでさらわれたのもわかってんだろう?」
「一番の心当たりはそれですね。」
「奪い返しに行くのか?」
「蛇の目はどこですか?」
「警察に聞くやつがあるか!」
「知らないんだったら、僕は失礼します。」
会釈してバラさんに背を向ける。
これに相手は動くことなく、口だけ動かした。
「おーい、探すあてでもあるのか?1人でなにが出来る?」
「出来ることをします。」
追ってこなかったので、やり過ごせたとは思った。
目の前の十文字の廊下を右へと曲がる。
彼らの視界から消える。
私が見えなくなったところで、病院の廊下に取り残された刑事コンビが騒ぎ出す。
「あー!?行っちゃったじゃないですか!?いいんですか、バラさん!?」
「坊やが動くまで、待つしかないだろう?」
文句を言う部下にベテランがため息交じりに言う。
この場で凛道蓮を追うことをあきらめたとわかる態度だった。
そんなベテラン刑事に、若いエリートが声を荒げる。
「それでは、捕まった少年達の早期救出が出来ないじゃないですか!?いくら龍星軍でも、一般生徒をかばってますし、被害者ですよ!?」
「ほお、ヤンキーの心配をするのか?」
「しますよ!法律でさばいて、更生させなければいけませんからね!凛道蓮だって、1人で動き回られるよりも、こちらで身柄を確保した方がいいですよ!?」
「『弁才天』ってレディースわかるか?」
「は?あ、『弁才天』という女の不良のチームですか?」
「『弁才天』が龍星軍と同盟を結んだ。」
「げ!?本当ですか!?」
「ああ、凛道は一人じゃ動かない。必ず、『弁才天』を頼る・・・!」
「女に頼るって、最低ですね!」
「ばか!甘えるぐれーでねぇと、女も気分を良くしないだろう?」
(そういうことです。)
帰ったと見せかけ、曲がったところで立ち止まっていた私。
盗み聞きした内容に笑みを浮かべると、今度こそ本当にその場から離れる。
携帯を取り出してボタンを押した。


