「そういうわけなので、ますみちゃんをどうこうする気はありませんよ。もちろん、はすみさんを含む『弁才天』のみなさんもです。」
「凛道蓮さん!?」
「蓮君、お姉ちゃんも許してくれるの!?」
「『も』だとぉ~!?」
「カンナ、顔が怖い!」
「てことは、一之瀬ますみちゃんも許したのか、凛君?」
「凛さん、人がよすぎますよ!」
「けっ!つくづくお人好しだな、凛道!?」
「うははははは!そこが凛のええとこやんか!めでたし、めでたしぃ~!で、よかっ~」
「よくねぇっ!!」
「お姉ちゃん?」
「よくねぇっすよ、凛道さん!」
「へ?」
こぶしをにぎりしめた、はすみさんが、私に詰め寄りながら叫ぶ。
「あたしは、凛道蓮さんの命を狙ったんだ!殺そうとしたんだぞ!?」
「でも、謝ってくれたじゃないですか?」
「そ、それは――――――・・・・虫の良い話かもしれないが、あんたがますみのために体張って、怒ってくれた姿に、心を打たれて・・・」
「じゃあ、いいじゃないですか。」
「よくないっ!!あたしは、つくづく思い知らされたんだ!どれだけ、自分の器が小さくて、最低な人間だったか!あたしの気が済まないんだ!!」
「はすみさん。」
「覚悟は出来てる!さぁ、遠慮はいらねぇからヤキを入れてくれ!!」
両手を広げながらしつこく食い下がる女総長。
そういうところが、姉妹でそっくりだと思いながら言った。
「できません。」
「なんでだよ!?男も女も関係ないだろう!?」
「関係ありますよ。言い方は違いますが、僕も兄弟愛は強いです。ブラコンですが、シスコンのはすみさんの気持ち、痛いほどわかりますから。」
「だけど!!」
「なによりも、そんなことをしたらますみちゃんが悲しみます。ますみちゃんだって、お姉さんやその仲間達が僕にどうこうされるのは嫌ですよね?」
「嫌よ!!」
予想通り、即答でますみちゃんは答えてくれた。
「お姉ちゃん、みんなも!蓮君は、女の子を殴ったり蹴ったりできる人じゃない!」
「そんなことはない!無抵抗のあたしらを、高千穂カンナに凹ってもらう方法もある!」
「あたしを巻き込むな、ボケ!!」
「そうきますか!?」
〔★盲点をつく方法だった★〕


