「女の子だから、女の子でいたいのに・・・社会は簡単にそれを認めてくれない。」
「女の子ですよ。」
憂いを込めて嘆く彼女に、何度目かになる【事実】を伝える。
「一之瀬ますみちゃん、君は女性だ。」
「蓮君。」
「僕は、君を女性だと思ってます。」
「・・・・だけど、ますみは、戸籍ではまだ・・・!」
「僕はますみちゃんが、女の子にしか見えないよ。大体、こんなにたくさん人間がいたら、1人ぐらいひねくれた奴がいて、否定する意見をいう奴がいるさ。だけど、それを気にしてちゃ、ますみちゃんの女らしさを無駄にしてしまう。気にすることは無駄だよ?」
「蓮君・・・!」
「本当に・・・・ますみちゃんって変なこと言うね?普通の可愛い女の子なのに。」
「蓮くぅんっ・・・・!」
励ましたつもりで言ったのに、またポロポロと泣きだすますみちゃん。
「あ、ごめん!僕、言い方がよくなかったかな?」
「違うの!いいの!本当に・・・・ごめんなさい、蓮君・・・・!」
「謝るのは、ますみの方なのに!ますみが・・・ますみが、悪いのに・・・」
自分で自分の涙をぬぐいながらますみちゃんは言う。
「今まで、告白して断られたことなんてなかった。だから、ますみを振った蓮君は、他の漢と違うって、すごく執着しちゃって・・・!」
「あ、嫌われてるわけではないんですね?」
「ばかぁ!!嫌いなれるわけないじゃん!!?」
「あ、ごめんなさい。」
「もう!そういうところが優しすぎるって言うのに・・・!」
元気よく否定する相手に謝れば、呆れたように涙を拭きとるますみちゃん。
「蓮君、知ってる?ますみ、蓮君とデートした時に・・・・・おねだりしたんだよ?」
「え?」
突然変わった会話。
彼女を見れば、頬を染めながらうつむき加減で私を見ていた。
「ほら、やっぱり気づいてない・・・ますみとデートして、何も買ってくれなかったのは、凛君だけだよ?」
「え!?やっぱり、何か買うべきだったんですか!?」
「そうだよ!ひっどい天然~!今まで出会った中で、凛君がナンバーワンの天然だよ・・・!」
「それ、ワーストがつきませんか?」
「教えてあげない。」
そう言って立ち上がると、私に背を向けるますみちゃん。


